アスペクト比とは?
アスペクト比(aspect ratio)とは、4つの角が全てひとしい四角形における長辺と短辺の比率のこと
16×9や16:9といったように表されます
2:3、4:3、4:5、1:1、16:19などがありますが、皆さんは作品によってこれらのアスペクト比を使い分けているでしょうか?
今まであまり気にしてこなかったな〜という方は、是非アスペクト比について考えてみていただければと思います
アスペクト比を変えてあげることで、被写体や構図によってはその印象ががらりと変わることがありますよ
この記事では特によく使う、1:1と16:9について作例を交えて解説したいと思います
アスペクト比の使い方を私なりに考えてみたので、ぜひ参考にしてもらえたら嬉しいです
美しい場面に出会った時、その時は美しいな〜最高だな〜と思って撮った写真が、家に帰っって見返したら、「なんか微妙〜」っていう時にアスペクト比を変えることで解決する時があります。とても面白いのでぜひ参考にしてみてくださいね。
アスペクト比の変更について
カメラによっては1:1や3:2、16:9など様々なアスペクト比で撮影できるものもありますが、大抵の場合は3:2や4:3の画像をトリミングしてアスペクト比を変えることになります
トリミングに関してはメリット、デメリットについて様々な意見があるところですが、私は抵抗なくトリミングをしています。現場でアスペクト比を考えて撮影することもあれば、レタッチの段階で必要に応じてトリミングすることもあります。
トリミングをすると、画質に影響が出そうな感じもしますが、現在のデジタルカメラの十分すぎる画素数を考慮すると、極端なトリミングをしない限りはプリントした時の画質には影響はないと考えていますし、実際に困ったことはありません
A4サイズの用紙にプリントするとしても、800万画素程度が残っていれば問題ないと言われていますね
それでは作例をもとにアスペクト比について考えていきたいと思います
主体を目立たせる1:1
安定感のましかく
ここでは1:1を『ましかく』と書きますね
ましかくと言えば、Hasselblad(ハッセルブラッド)の6×6cm判一眼レフカメラが頭に浮かびます
難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実はましかくは安定感のある写真に仕上げるために割と簡単なアスペクト比であると考えています
初心者の方には実はおすすめのアスペクト比と言えるかもしれません
instagramは基本的にましかく
おしゃれなイメージもありますよね
この後は、ましかくでの基本的な構成を考えていきたいと思います
ましかくで意識すること
ましかくでは、基本的には三分割構図や日の丸構図といった構図を意識してあげるとより安定感のある1枚になります
模様のようなパターンで構成しても面白い作品ができますし、二分割というのもましかくでは構成しやすく面白い作品になると思います
私は、ましかくで作品を作る時はとにかく見せたいものを真ん中にドーンと配置したくなります。いろいろ考えなくてもいいですし。そのあとで、構図の微調整をすることが多いです。
主体を真ん中に配置
日の丸構図と近いかもしれませんが、ここでは日の丸構図とはあえて言いません
とにかくあなたが一番見せたいものを真ん中に持ってきます
ピント合わせをしたその周辺を真ん中に配置してみてください
ダイレクトに何が印象に残ったのか、何を撮りたいと思ったのかというのが伝わります
例えばこんな感じです
現地では朽ちたブナの巨木のスケールに圧倒されましたが、写真にするといまいちで…プリントしてみると写真上部の白飛びもかなり気になります。そこで思い切って巨木を画面いっぱいに配置してみました。スケール感は背景の標準的な木々たちのおかげでちゃんと伝わりますし、木のゴツゴツとした質感もストレートに伝わってくると感じました。白飛びの部分も切ることで目線が主体に集中できるようになります。
倒れた白樺の木に西陽がさしていたことで、倒れているにもかかわらず生命を感じました。かなり周りがごちゃついていて個人的にはすっきりさせた方が主体が生きると思ったのでましかくにトリミングをしてみました。結果、写真に対して木が締める面積が広くなることでよりダイナミックな表現になったと思います。
シンプルに紅葉した葉の色が綺麗で、そして残っている葉が寄り添っている感じがなんとも可愛かったので日の丸構図で撮りたいなと撮影時に考えて撮った写真です。さらにましかくにして空間を狭くすることでより主体が引き立つ作品に仕上がったと思います。
三分割構図
ましかくであっても三分割構図は有効です
そして、まとめやすいです
背景がうるさい時などは、ましかくに収めると作品映えすることもあるので、これまでに撮った写真の中で、「光の条件よかったんだけど構図がいまいち〜」とか、「余計なものが入り込んでる〜」っていうものはもう一度見直してみるのもいいかと思います
例えばこんな感じです
光を透過する紅葉した葉を撮影しました。雪をまとった冷たいイメージと、光を透過することで暖かみのある黄色に光る部分の対比が面白いと感じたので撮影した一枚です。透過した部分と二枚の葉の境界線を三分割の交点に配置し、主体の面積を大きくそして目線が行きやすいところに配置したことで撮影の意図が伝わりやすいようにしています。
こちらも紅葉シーズンに撮った一枚。前ボケを入れて白樺を主体として撮影しました。ましかくにトリミングするとき、白樺を三分割の交点に配置しています。実はボケの要素が斜め構図にもなっています。これは撮影時は意識していませんでしたが、ましかくにトリミングすることで斜めの要素も入れることができました。
ブナの巨木です。これも撮影時は全体をフレーミングしなきゃという意識が強すぎて、作品というよりは記録写真のようになってしまった一枚です。これは、現像する時に上部の白飛び部分がすごく気になりました。白飛び部分が入らないように、そして木の幹を三分割の交点に配置しています。ましかくでは奥行き感を出しにくいのですが、この作品では巨大な木の根が視線誘導となり奥行き感も出ていると思います。
パターンで抽象的な作品に
同じ要素を持つ物の集まりや幾何学的な模様を写真で撮ると面白い作品ができます
洋服とか絨毯に用いられる模様やデザイン的なイメージでいいのですが、実はこういった模様は自然界の中に無限に存在します
撮影に行ったけど条件が悪くて撮るのがない…
となった時にはこういうものを探して、ましかくの中で表現してみてください
宝探しのみたいでとても楽しい時間を過ごせるはずです
水たまりが凍って幾何学的な模様を作り出していました。反射しているところがありましたが、CPLフィルターで反射除去せずに撮影しています。
花の撮影も、このように俯瞰で撮る方法もあります。好きな色だったので他の要素は入れずに花の部分だけを切り取っています。
木の表面のゴツゴツした部分が迷彩柄のようで面白いと思ったので撮りました。このようにましかくで切り取ると面白い作品に仕上がり個人的にはすごく好きな一枚になりました。
シンプルに雪のみ。という一枚です。雪の表面が風でけづられたことでできる模様を撮りました。この作品の場合、シンプルな構成なので、雪の質感とかシャドーの露出などにこだわって仕上げています。
ましかくのまとめ
ましかく(1:1)にどのようなイメージを持たれたでしょうか?
ましかくに収めたら命が吹き込まれるようなポテンシャルを持った写真データが眠っているかもしれませんよ
たまに過去の写真をアスペクト比を変えて見返すと楽しいと思いますよ。
8枚目、紫の花の作品 カメラ:Sony α6000 レンズ:SIGMA 30mm F2.8 DN
他 カメラ:Sony α7 レンズ:TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6
空間の広がりを強調する16:9
16:9はYoutube、テレビなどの動画向け
16:9
幅が16、高さが9の横長なスクリーンのアスペクト比になります
これもよく使いますのでご紹介したいと思います
16:9というのはYoutube、テレビなどの動画向けのアスペクト比
写真にすると、視線が横に動きやすいため、空間の広がりが強調されます
ましかくは中に中に目線が動くのに対して、16:9は外へ外へと目線が動く感じです
壮大な風景を収めるのに相性の良いアスペクト比だと思います
横線を意識した構図
ここでも三分割構図を意識することで安定感のある写真に仕上がります
映画のワンシーンのような印象にすることができます
夏の川で撮った一枚。前景が弱いのであえて切ってみました。差し込む日差しが綺麗だったとので、そこに目線がいくような構図にしています。
ここでは山の稜線がポイントになります
構図の中に横線をリズムよく配置するよう意識しています
朝の風景を撮った一枚です。山の稜線がレイヤーになっていて手前から奥にかけて徐々にコントラストが落ちていきグラデーションのようになっているのがとても綺麗でした。3:2のアスペクト比では、単調な空の面積が大きくなってしまい寂しい感じがしました。16:9にすることで主題がわかりやすくなっていると思います。
湖で撮った一枚。湖のラインと水草の緑が印象的でした。実はこの写真、日の出前の薄暗い時間帯に撮った写真。51秒というシャッタースピードで撮っているため、空が見た目とは違った印象になっています。ちょうど真ん中にラインが入るような構図にすることで、同じ空間を二つに分けたような少し不思議な印象に仕上がったと思います。
縦の線を意識した構図
縦の線は森に入るとたくさんあります
ここでもリズムよく配置することを意識して構図を作ると安定感のある写真に仕上がりますよ
これらの写真は全て縦のラインが均等に配置されるように意識して撮影しています。どの写真もダークな印象で、個人的にはこういった写真は16:9のアスペクト比にするのが好きです。映画のワンシーンを思わせるような作品に仕上げることができますよ。
16:9まとめ
風景写真と相性がいい16:9
どんな印象を持たれたでしょうか
もっと広がりを強調したいと思った写真でためしてみると、お蔵入りしていた作品がお気に入りの一枚に生まれ変わるかもしれませんよ
紹介した作例をまとめますね
カメラ:Sony α7 レンズ:TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6
A4プリントして飾ってみよう!
自分のお気に入りの写真はプリントして飾っておくのもおすすめです
EPSON EW-873Tというエコタンク搭載モデルを使用しています。今回、プリント用紙はEPSONフォトマット紙を使用。真っ白というよりはやや黄色味を帯びていて柔らかい印象に仕上がります。マット紙ですがしっかりと階調も保たれますしとても使いやすい紙ですよ。
額装するとこんな感じになります
個人的には、ましかくはの場合は余白を大きくして額装するとアート感が増すのでおすすめです
抽象的な作品を額装するのもいいですね
ブレで表現するICM Photographyをプリントして飾ってみてみるのもいいですし
モダンなお部屋にはシンプルな写真やモノクロ写真が馴染みやすいかもしれません
まとめ
今回は、よく使うアスペクト比1:1、16:9をご紹介しました
作品の印象を変えてみたい
なんかしっくりこない…
という時にアスペクト比を変えて作品作りをしてみてはいかがでしょうか?作品作りのバリエーションが増えることできっと楽しいカメラライフを送れると思います
最後まで読んでいただきありがとうございました
では、また♪( ´θ`)