高原の6月の朝はまだ少し肌寒い。
日中との寒暖差でよく霧が発生するので、みずみずしい森の姿を見る機会も多い時期。
今回は、霧に包まれるつつじの森を目当てに出かけることにした。
日頃ためまくったストレスをキャッシュするため。
出発は早朝3時半ごろ。
天気予報は曇り。湿度は高めなので霧が発生する可能せは高かった。
道中、濃い霧を見ることはなかったが、目指している高原は標高が1,000m弱。行ってみると全く違う表情を見せてくれる時もあり、現地に着くまではまったく読めない。その読めないところが、いつもどきどき感を増幅させる。
このどきどき感もネイチャーフォトの面白いところの一つ。
つつじの開花時期といえば、昨年も同じ時期に同じ場所で撮影をしていたのでなんとなくタイミングは掴めている。今回も見頃であることはほぼ間違いなさそうだ。
高原に続く道路を走っていくと、山の中腹部にガスが溜まっているのが見えてきた。標高を上げるにつれてガスが濃くなっていき、目的地にはお目当ての「霧に包まれたつつじの森」が姿を見せてくれた。
車を降りると、鳥の声が美しく響いていた。それ以外の音は皆無で、風も無風に近かった。散策したり写真を撮るには心地よい気候。
これはもう、そこに立っているだけで心が和む最高のリラックス空間となっていた。自然が作り出す空間は本当に素晴らしい。こんなロケーションに遭遇するといつも再確認させられる。
その空気感を深呼吸で味わった後、まずは一枚目の写真を撮ってみた。
カメラはSonyα7。レンズはTAMRON 28-200。
緩やかな斜面に立つ白樺の木がお気に入りの場所。ガスがゆっくりと動いていたので、何枚か撮影してそこからベストな一枚を選んでみた。
ここでの主役は白樺の木。
森の中に白樺はよく映える。光は画面上、右側から入り込み、ガスに反射してグラデーションを演出してくれていたのでそれがいいアクセントになってくれた。
三分割構図のシンプルな構図で、最終的に16:9のアスペクト比に仕上げたかったのでそこだけ意識してシャッターを切ってみた。
構図を合わせて、シャッターを切る時間は最高に気持ちのいいひとときだった。
場所を変えようと林間のトレイルを散策しているととても印象的な場所を見つけた。
ここも、みずみずしい空気感がとても心地の良い場所だった。
斜面を下から見上げると、白樺が緑に囲まれるように佇み、そこにガスが入り込んだせいか幻想的な雰囲気を醸し出していた。
覗き見る感じに仕上げたかったので、手前に咲いているつつじを全景に入れてみた。絞りを絞って白樺にフォーカスしている。明暗差がある場所だったので、ヒストグラムを確認しながら白飛び黒つぶれが出ないように露出を設定した。
帰り際、車を走らせていると特に霧の濃い場所を見つけたので立ち寄ってみた。
写真を撮るには少しガスが入り過ぎている印象でもあったが、ガスは動いていたのでなるべく薄くなったタイミングを待ってみた。
そこは松の木が生息していて、つつじが密集しているエリア。
松の木に絡みつく蔦漆もいいアクセントに。ここでは、レイヤーで奥行き感がなるべく強く出るような構図を意識してみた。
アングルが高いと、木の根元の雑草が写り込んでしまっていたので、低いアングルから構図を作った。
仕上がりはこんな感じに。
結局、今日紹介した3枚全て木がメインの写真になってしまった…
昨年も同じ時期に撮影したが、今年はより好みの写真に仕上げることができたと思う。
何よりも今回の撮影は、静かで穏やかな心地よい環境で本当にリラックスすることができた。季節の花「つつじ」を絡めた撮影もできて満足している。
時間があればコーヒーを淹れて飲みたかったが、また次の機会の楽しみにとっておくことにしよう。